ディレクターとしてオウンドメディアを運営し、今そのおもな手法として軸にしているのが、コンテンツマーケティングです。もともと編集者として書籍や雑誌の記事を作っていましたので、コンテンツ制作に強いことも理由のひとつですが、SEOとの相性がよく、ちくちく地道に進める作業が好きなので、それが手法として定着したとも言えます。
もくじ
- どこに軸を据えて何をゴールにするかがカギ
- 大事なのはスタート前の運用設計
- 価値を作るためのコンテンツ制作のポイント
- 立てた仮説を検証しながら運用する
手法としては以下の6つです。
1. 特徴を言語化・ビジュアル化
2. 身の丈に合うメディア設計
3. 集客コンテンツの制作
4. ブランド価値のコンテンツ化
5. 持続可能なメディアの設計
6. データ分析
6以外はRdesign factoryのサービスとして提示しているものですが、私自身にとってはオウンドメディア運営の手法でもあります。
どこに軸を据えて何をゴールにするかがカギ
WEBサイトの運用はしようと思った瞬間から始められますが、課題となるのはだいたいこの3つです。
・どんな記事を投稿し続けるか
・集客をどう行うか
・運営をどう続けるか
簡単なことにと思われがちですが、これらが定まらないまま運用を始めてしまうと、わりと早い段階で息切れします。それを解消するカギとなるのが「1. 特徴を言語化・ビジュアル化」「2. 身の丈に合うメディア設計」です。運用が止まるWEBサイトには、この2点が欠けていることが多いです。
まずひとつめは、自分たちのサービスの特徴を表す言葉や表現、ビジュアルの範囲です。何をどこまで・どう表現するかを決めることで、「投稿していい内容とそうでない内容」が明確になり、投稿内容の幅をコントロールできるようになります(言葉で説明しても抽象的すぎてわかりにくいので別の機会に説明します)。
もうひとつ、身の丈に合うメディア設計についてですが、とりあえずサイトを作る、とりあえずSNSを走らせる、というのももちろんありですし、やりながら調整するのもありですが、それでは焦点を定めるまで時間と手間がかかってしまいます。ですので、目的を念頭に置き、最初から自社サービスにフィットしたサイズでメディアと集客方法を設計することを提案しています。
私が考える“身の丈”とは、自社サービスの潜在顧客層を最初にある程度絞り込み、潜在顧客のライフスタイルに合わせて、自社のWEBサービス全般を設計する考え方です。
どのくらいの期間で黒字化に転換させられるか、サイト規模をどのくらいにするか、どのSNSを使うか、どんな外部サービスと組み合わせるか、すべての導線をどこに落とし込むか、どのツールを使えば効率的な運用ができるか……等々。
それを最初に設計しておけば、最低限のコストとリソースで始められますし、調整するときにズレが起こりにくくなります。もちろん、やってみてこれはちょっと違うと感じることもたまにあります。その場合は仮説検証しながら運用を改善していくことで、焦点を合わせていきます。
メディア運営
身の丈に合うメディア設計
=目的{サイト規模×(組み合わせるSNS+更新頻度とタイミング+集客方法)×潜在顧客層}
大事なのはスタート前の運用設計
初期設計時に一緒に考えたいのが、「5. 持続可能なメディアの設計」です。「2. 身の丈に合うメディア設計」と重なる部分もあるように見えますが、全く別物です。「身の丈」はどちらかというと潜在顧客層に目線を合わせたメディア設計のしかたで、「5. 持続可能なメディアの設計のほうは運用する側のリソースに合わせた設計のしかたを指します。要はサイト運営側の“都合”です。
サイトの目標に対し、運用に割けるリソースを初期構築時に考えます。制作やリニューアルにあたり、費用とスケジュール、サイト公開後の目標が決まっていて、それ以外のことは「新サイトができたら考える」ということはしばしば起こりがち。
サイトの立ち上げから公開までワンストップで制作会社にお願いができる場合は、制作会社のディレクターがそのあたりを取り仕切ってくれることもありますが、人によっては制作物の最終納品形のイメージをクライアントに確認し、運用の些末な点を切り離し、「とりあえず納品すればOK」という方もいます。
後者のタイプに当たった場合は、いらないものを初期にわざわざ作ってしまったり、運用を始めてから「こんなはずじゃなかった」と追加改修が必要になる場合もありますので、注意が必要です。
価値を作るためのコンテンツ制作のポイント
コンテンツ作りには2つのポイントがありまして、「3. 集客コンテンツの制作」「4. ブランド価値のコンテンツ化」を同時に進めることです。
コンテンツは、目に見えない価値を積み重ねられるもの。自社サイトに置くのは目的があって、サイトを目標達成に導く潜在顧客を呼べるコンテンツを置き、増えていくことで自動的に価値を高めていく必要があります。
集客のために事前に自社サービスの特徴を言語化・ビジュアル化し、目的に合わせて記事のネタを起こしていきます。しかしながらこれだけでは集客は実現できませんので、潜在顧客ユーザーに対してSEOを組み合わせ、“あるべき記事”を想定、どのくらいの期間に何本置けるかを計画します。
このとき、SEOだけで記事を考えると特徴のない記事になりやすいので、自分たちが書くべき原稿の意味を定めることが重要です。それが「4. ブランド価値のコンテンツ化」です。「1. 特徴を言語化・ビジュアル化」をしておくとブランド価値を示す具体的なもの・言葉・ビジュアル・定義・あるべき姿が明確になります。それに沿ってコンテンツのネタ出しをしていくのです。
立てた仮説を検証しながら運用する
ということで、冒頭に挙げた手法1~5を回しながらサイト設計・運用設計・コンテンツ計画を練り、公開後は効果測定をしながら仮説検証を行います。約3か月~半年ぐらいでユーザー行動や数値が安定してきますので、定点観測データをいくつか定め、数値を見ながら立てた目標とのズレやユーザーの動きの歪みを調整し続けます。
そうする中でキラーワードやキラーコンテンツが生まれたり、何かが起こって突然バズることも。そうした出来事をうまく運用の中に取り込んでいきながら、サイトの強みをより伸ばしていきます。
コンテンツマーケティングによるオウンドメディアの手法や基本的な考え方はこんな感じです。