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【書く習慣編】毎日少しずつ「文章力」を上げる方法【3】

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「文章力を上げたいけど、時間がない」「何から始めればいいのかわからない」という方は多いと思います。文章力アップに必要なのは「特別な時間」ではありません。

日常生活のなかで「ちょっとした習慣」を取り入れることで、文章力を上げていくことができます。今回は、忙しい方でも無理なく続けられる、文章力アップのための3つの習慣をご紹介します。

毎日少しずつ、無理のない方法を積み重ねることで、確実に文章力は向上します。下記シリーズで解説します。本原稿は「書く習慣編」です。


もくじ

今日から始める文章力アップ3つの方法
1.読書習慣のはじめ方
2.書く習慣のつけ方
 SNSから始める
 3行日記を書く
 メールやチャットの文章を見直す
3.表現力を豊かにする方法
 言い換え練習
 一文の長さを意識
 具体例を考える
まとめ

今日から始める文章力アップ3つの方法

文章力を上げる習慣をつくるために3つのコツがあります。「読書習慣をつくる」「書く習慣をつくる」「表現力を豊かにする」です。書く力を上げるには、読む力も欠かせません。

書けるようになりたいけど読書はしたくないとしたら、フレンチのシェフになりたいけどフレンチは食べたことがない、新聞記者になりたいけど新聞は読んだことがないのと同じです。

読書といっても、毎日1冊読めとかそういう話ではありませんので、ご安心ください。何より楽しいです。

1.読書習慣のはじめ方

ポイントは「時間の使い方」と「始め方」にあります。「読書のための時間」を特別に作る必要はありません。普段の生活のなかの「すきま時間」を活用します。

  • 通勤電車での10分
  • 会議開始前の待ち時間
  • お昼休みのデスクでの5分
  • 入浴中の5分
  • 就寝前のベッドでの3分
5分前後のすきま時間を探してみると、生活のなかに意外とあります。私はいつも移動中とお風呂、美容院のヘアカラーの待ち時間に読んでいます。

大切なのは、読書に対する心理的なハードルを下げることです。5分で読めるページ数は、1ページでもいいのです。気になるところだけ読んでもOK。大切なのは「無理なく」「楽しく」継続することです。

少しずつでも毎日5分続けると、1か月で150分になります。その時間で得られる「気づき」や「学び」は、文章力向上につながっていきます。語彙も増えます。

2.書く習慣のつけ方

文章上達を望む方に多いのは、いきなり長文から取り組むことです。仕事上喫緊の課題と感じていて気が急くこともあると思います。ですが、短文をさらさら書けるようになるところから始めたほうが、ずっと近道です。

SNSから始める

最も手軽な習慣として始めやすいのは、SNSです。投稿内容のコツとしては、

  • 今日の気づき
  • お気に入りの本の要約
  • 仕事での学びのシェア
  • 新しく得た知識のメモ
  • お客様との会話で印象的だった言葉

などです。ポイントは「毎日」投稿することで、長さは2〜3行でかまいません。私自身もできるだけSNSに毎日投稿するようにしていますが、私自身は自分のことを書くのが得意ではないので、「今日は何の日」という記念日に関する雑学を140字に要約して投稿しています(下記参照)。

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要約は文章力を上げるひとつの方法でもありますので、自分のことを書くのが得意でない方は、好きなジャンルの情報を140字に要約して投稿するのもおすすめです。

ただし、要約は気軽に書けるようになるまで少し時間がかかりますので、慣れてからのほうが取り組みやすいかもしれません(文章力アップを急いでいる方にはおすすめです)。

3行日記を書く

「日記」と聞くと、長文を想像するかもしれませんが、3行だけ書きます。3行なら3分で書けます。

【3行日記の例】
10/1

・朝イチで商談が決まった
・新しいツールの使い方を学んだ
・休憩時間に気になる本を読んだ

箇条書きでシンプルに、その日印象に残ったことを書くだけです。これが不思議なもので、毎日続けているとどんどんあれこれ書きたくなって、楽しくなります。日記のすごいところは、少しずつ気持ちや状況を言語化することが上手くなる点です。

気持ちや状況を言葉にするのは、慣れないとうまくできません。毎日3行だけでも書き続けていくと、書いてみたい表現、使いたい言葉を使う練習にもなるので、「のっぴきならないことが起こった」「憤懣(ふんまん)やるかたない」のような普段使わない表現が自分の血肉として語彙になる過程もわかって、後から読み返して楽しめます。「言いたかったんだね」と(笑)。

メールやチャットの文章を見直す

毎日書いているメールやチャット、これも立派な文章力を上げる絶好の機会です。見直すポイントは以下のような点です。

・送信前に一度読み返す
・結論を先に書く
・箇条書きを取り入れる

・無駄な言葉(修飾語など)を削る
・相手のアクションを促す選択肢を示す
・文末表現を統一する(ですますや句読点の有無)
・段落を整える

これらのポイントは、意識してやるとやらないとでは文章の仕上がりが違います。テキストコミュニケーションの機会が増えた今、試してみる機会は多くあります。私が訓練としてよくやっていたのは、「結論を先に書く」「箇条書きを取り入れる」「相手のアクションを促す選択肢を示す」です。

余談ですが、冒頭の「お世話になっております、川俣です」みたいな一文の後は、結論と箇条書きと相手のアクションを促す選択肢を書き入れて、極力テキストの分量を減らし、要件以外の内容に触れないようにしました。だらだら書いていたのを短くし、次のアクションを相手に考えてから返答を促すのもやめました。

選択肢として回答を用意すると、テキストコミュニケーションのスピードも上がりますし、相手も考える時間を改めて取らなくて済むので、すぐに返信してくれる率が上がります。速くすることが目的ではないのですが、わかりやすく書く練習にとても適していると思いました。

表現力を豊かにする方法

表現力を豊かにするのも、「言い換え」「一文の長さ」「具体例」の3つを使って日常のなかで鍛えることができます。

言い換え練習

普段使っている言葉を、別の表現に置き換えてみる。これだけです。たとえば、「とてもよい」を言い換えると、

  • 素晴らしい
  • 申し分ない
  • 最高の
  • 理想的な
  • 期待以上の

などに言い換えることができます。文章を書くときに、「とてもよい」と書きたくなったら、同じ意味だけど違う表現、つまり「類語」を使うようにします。

人が使う表現には好みがあって、使いたい言葉は意外と決まっていたりします。使いたい言葉を類語に言い換える練習を重ねると、自然と類語が頭に浮かぶようになり、語彙も増えていきます。類語は、類語辞典を使うと便利です。一度試してみてください。言葉の幅が広がる感覚を理解していただけると思います。
類語シソーラス>>

一文の長さを意識

前回の記事にも書いたので繰り返しになりますが、一文の長さを意識して書くのは、文章を書くいい訓練になります。長すぎる文章は読みにくくなりますが、何も考えないで書くと、文章は底なしに長くなりやすいです。いつどんなときも、文章を書くときは一文を短く区切るよう意識して書いてみてください。

こちらの文章は、社内でよくある報告の一文です。

【長文】

新しく導入したシステムは、操作が簡単で、従来より30%作業時間が短縮され、しかも費用も抑えられており、部のメンバーからも好評です。

もちろんこのままでも言いたいことは伝わります。ですが、文章力を上げる訓練をする場合は、短く端的にわかりやすく相手に伝えることを意識して、こんなふうもまとめることもできます

【短文】

新しいシステムには3つの特徴があります。
・操作が簡単
・作業時間が30%短縮
・費用を抑えられる
部のメンバーからも好評を得ています。

一文を短文にする訓練を続けると、長文を見たときにどう分割するかがすぐ判断できるようになりますし、ポイントがここだと当たりをつけるのも早くなります。長文から要点を捉える力が高まるためです。

具体例を考える

具体例を表現するコツは、この4つを使います。

  • 数値を使う
  • 比較しやすい指標を使う
  • 実例を示す
  • ビフォー・アフターの変化を示す

文章中に具体例がある場合とない場合、文章のわかりやすさにどのくらい違いがあるか見てみます。たとえば、次の例です。

【具体例なし】

当社のサービスは質が大幅に向上しました。導入した新システムはとても使いやすくなり、その成果もあって今期の売上は好調に推移しています。

社内の報告書や、社外に対するプレゼンでこういった表現をされることもあると思います。ですが、雰囲気以外何がいいのか何も伝わりません。

【具体例あり】

当社ではサービス改善を行い、改善後は以下のとおりです。

・問い合わせ返信:翌日→当日中(3時間以内)
・カスタマーサポート:平日のみ→年中無休
・商品到着:7日以内→最短2日以内

これらを実現できたのは新システムの導入によるものです。

・画面遷移:5回クリック→2回クリックに削減
・データ入力項目:15項目→8項目に削減
・検索機能:完全一致のみ→あいまい検索も可能に

そのため、今期の売上は前年比120%達成、リピート率は65%→80%となり、好調に推移しています。

具体例があるほうが、断然わかりやすいですよね。

まとめ

「読む」「書く」「表現する」の3ステップをそれぞれご紹介しましたが、完璧を目指す必要はありません。日常の中にある「書く機会」を意識的に使うところから始めてみてください。文章はすぐに上手くはなりませんが、根気よく取り組むと、少しずつ自分の内側に“辞書”ができ、確実に文章を書くことが上手く、楽しくなってきます。

次回は、【7日間の実践プログラム編】毎日少しずつ「文章力」を上げる方法【4】をお届けします。