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【文章の構成編】毎日少しずつ「文章力」を上げる方法【1】

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ビジネスシーンでは、戦略的な文章力が求められます。商品やサービスの価値を伝えたり、専門知識をわかりやすく説明したり、信頼関係を構築できるよう心配りを利かせたメッセージを書いたり。

本記事では、すぐに実践できる文章力を上げる具体的な方法をお伝えします。毎日少しずつ、無理のない方法を積み重ねることで、確実に文章力は向上します。下記シリーズで解説します。本原稿は「文章の構成編」です。


もくじ

読み手を意識する
わかりやすさを示す例文
 わかりにくい文章の例
 わかりやすい文章の例
わかりやすい文章とわかりにくい文章の差はどこにあるか?
書く前に情報を取捨選択して、配置を決める
まとめ

読み手を意識する

最も重要な要素が「読み手を意識する力」です。いい文章を書く人は、必ず「誰に向けて書くのか」を意識しています。文章が苦手な方は、自分が書けないことに意識が行きすぎて、読み手の状況や心情を忘れている場合が多いです。

読み手を意識するポイントは3つあって、

  1. 相手の立場で考える
  2. わかりやすさを重視する
  3. 必要な情報を適切に書く

ことです。

たとえば、商品説明を書く場合、

  • 初心者向け → 基本的な用語から丁寧に説明する
  • 専門家向け → 技術的な特徴を重点的に解説する
  • 購入検討者 → 実践的な活用方法を具体的に提示する

このように、読み手のニーズや知識レベルに合わせて、内容や表現を調整します。

上記のように3つの読み手候補がいるとき、「全員に伝えたいから、全員に向けて書きたい」場合がほとんどだと思います。ですが、ここは内容を分けたほうが、伝えたいことが伝わりやすいです。

「初心者向け」がわかりやすく書いてあれば、専門家は詳細ページを見て、自分に必要な情報を選び取ることができますので。初心者向けが意味不明の文章になっていると、離脱します。

伝えたい内容を100%持っていても、それを100%伝えられるとは限りません。そこで重要になるのが「わかりやすさ」です。

わかりやすい文章をつくる工夫には、

  • 一文を短めに区切る
  • 専門用語には説明を添える
  • 箇条書きを使う
  • 具体例を交えて説明する

があります。逆に言うと、わかりにくい文章はこの反対になっていることがほとんどです。

  • 一文が長い
  • 専門用語の説明がない
  • 箇条書きなどがなく、何がポイントなのかわからない
  • 具体例がなく、抽象的

わかりやすさを示す例文

仮に、私がダイエットをしたいとします。スポーツトレーナーに「筋トレをメインにダイエットを始めたいのですが、何から始めるのがいいですか? 筋トレを続けられるかどうか不安もあるのですが……」とメッセージを送ったとします。

どちらの返信をもらいたいでしょうか。

わかりにくい文章の例

筋力トレーニングは基礎代謝を向上させることでカロリー消費を促進し、脂肪燃焼効果も期待できるため、有酸素運動と併用することで効果的なダイエットが可能となり、特に大きな筋群を使用する複合種目を取り入れることで、より高い消費カロリーと代謝アップが見込め、さらに適切なタンパク質摂取と休養を組み合わせることで、理想的な体型維持が可能となります。

わかりやすい文章の例

ダイエットに筋トレを取り入れる方法をご紹介します!

1. 筋トレがダイエットに効果的な理由
 ・筋肉量が増えると、体が消費するカロリーが増える
 ・運動後も脂肪が燃焼しやすい状態が続く
 ・体型がキレイに引き締まる

2. おすすめの筋トレメニュー
初心者向け:1種目10回×3セットから始めましょう
 ・スクワット
   -お尻と太もも周りが引き締まる
   -1日30回からスタート
 ・腹筋運動
   -おなか周りをスッキリさせる
   -1日20回から始める
 ・プッシュアップ(腕立て伏せ)
   -二の腕と胸を引き締める
   -膝をついて行うのもOKです

3. 運動のポイント
 ・週3回程度から始める
 ・体力に合わせて回数を増やす
 ・無理なくゆっくり行う
 ・正しいフォームを意識する

4. よくある失敗と対策
 ・「やりすぎて筋肉痛になった」
   →最初は軽い負荷から始めましょう
 ・「すぐに効果が出ない」
   →1か月続けることを目標にしましょう
 ・「毎日続かない」
   →週3回からスタートするのがおすすめです

できることから少しずつ始めると、必ず結果はついてきます! 体調が悪いときは、無理せず必ず休養を取ってくださいね。

長い例文で恐縮ですが、上のふたつは同じ話をしています。わかりやすい・わかりにくいの差は、極端に言うことこういうことなんです。具体的で実践的な情報を整理して提示することで、聞き手にわかりやすく、伝わりやすい文章になります。

わかりやすい文章とわかりにくい文章の差はどこにあるか?

前述の例文をもとにすると、わかりにくい文章の特徴は、

  • 専門用語(基礎代謝、複合種目など)が説明なしで使われている
  • 一文が長く、読みにくい
  • 具体的な方法が示されていない
  • 実践的なアドバイスがない

全体的に短い文章でまとまっていて、「それっぽい」内容なのですが、内容がない文章になっています。トレーナーにメッセージを送った「私」は、これを読んで「よしやってみよう」とは思えませんし、「このトレーナーとはこれ以上話してもダメな気がする」と思ってしまいます。

いっぽう、わかりやすい文章の特徴は、

  • 短い文で説明している
  • 具体的な運動メニューを提示
  • 回数や頻度が示されている
  • 失敗例と対策もある
  • 箇条書きで見やすく整理
  • イメージしやすい例がある
  • 励ましの言葉があって読み手のモチベーションにも配慮
  • 安全面への配慮も伝えている

文章のボリュームは増えてしまいますが、質問者の疑問や不安に答えただけでなく、読み手の質問の意図を理解し、次の行動につなげる後押しもしています。「読み手を意識して書く」とは、読み手のニーズに応えられる文章であるとも言えます。

書く前に情報を取捨選択して、配置を決める

文章を書くとき、書く順番として「PREP法」を使うのがおすすめです。

PREPとは、「Point(結論)⇒ Reason (理由)⇒Example(事例)⇒ Point(結論)」の頭文字を取ったものです。最初に結論を述べ、結論に至った理由と事例を説明し、最後にもう一度結論でまとめます。文章がうまく書ける方は、ここが上手です。

心がけるポイントは、

  • 結論や重要な点を最初と最後に示す
  • 補足情報はあとから付け加える
  • 「5W1H」を意識して情報を整理する

です。

国語の授業で習った「起承転結」の書き方ですと、「結論」に至るのが最後の最後になります。昨今世の中に出ているテキストコミュニケーションは、「つかみ(冒頭)が大切」と言われています。最初にぐっと心をつかまないと、最後まで読んでもらえません。

SNSや動画でも、最初にもたもたした表現をしていると、すぐに離脱されてしまいますが、まさにそれです。「起承転結」で書きたい場合は、「結・起承転結」で書くことをおすすめします。

また、補足情報をあとから付け加えるのは、結論や重要な点と一緒に補足したい情報を書くと、何が重要なのかぼやけてしまうからです。最初に重要な点だけ書いて、補足情報なしでわかるようにまとめる。その上で、補足します。

まとめ

文章力を上げたい場合は、まずこの「読み手意識」を持つことから始めてみてください。これだけでも文章の質は大きく変わります。

余談ですが、ライター業をしていると、「原稿を一晩寝かせる」という言い方をよくします。書いたときは「これだ~!」と思いながら書いていますので、原稿に対してある意味視野が狭くなっており、原稿を俯瞰して読むことが難しくなっています。

ですから、一晩置いてクリアな視点で再読します。すると、冷静になった気持ちと視点で原稿を見直すことができるので、書き上げた後には気づかなかった点に気づくことができます。こうして物理的に「読み手意識」をもつこともできますので、よかったら一度試してみてください。

次回は【文章の書き方編】毎日少しずつ「文章力」を上げる方法【2】をお届けします。