ビジネスシーンでは、戦略的な文章力が求められます。商品やサービスの価値を伝えたり、専門知識をわかりやすく説明したり、信頼関係を構築できるよう心配りを利かせたメッセージを書いたり。
本記事では、すぐに実践できる文章力を上げる具体的な方法をお伝えします。毎日少しずつ、無理のない方法を積み重ねることで、確実に文章力は向上します。下記シリーズで解説します。本原稿は「文章の構成編」です。
もくじ
読み手を意識する
わかりやすさを示す例文
わかりにくい文章の例
わかりやすい文章の例
わかりやすい文章とわかりにくい文章の差はどこにあるか?
書く前に情報を取捨選択して、配置を決める
まとめ
最も重要な要素が「読み手を意識する力」です。いい文章を書く人は、必ず「誰に向けて書くのか」を意識しています。文章が苦手な方は、自分が書けないことに意識が行きすぎて、読み手の状況や心情を忘れている場合が多いです。
読み手を意識するポイントは3つあって、
ことです。
たとえば、商品説明を書く場合、
このように、読み手のニーズや知識レベルに合わせて、内容や表現を調整します。
上記のように3つの読み手候補がいるとき、「全員に伝えたいから、全員に向けて書きたい」場合がほとんどだと思います。ですが、ここは内容を分けたほうが、伝えたいことが伝わりやすいです。
「初心者向け」がわかりやすく書いてあれば、専門家は詳細ページを見て、自分に必要な情報を選び取ることができますので。初心者向けが意味不明の文章になっていると、離脱します。
伝えたい内容を100%持っていても、それを100%伝えられるとは限りません。そこで重要になるのが「わかりやすさ」です。
わかりやすい文章をつくる工夫には、
があります。逆に言うと、わかりにくい文章はこの反対になっていることがほとんどです。
仮に、私がダイエットをしたいとします。スポーツトレーナーに「筋トレをメインにダイエットを始めたいのですが、何から始めるのがいいですか? 筋トレを続けられるかどうか不安もあるのですが……」とメッセージを送ったとします。
どちらの返信をもらいたいでしょうか。
筋力トレーニングは基礎代謝を向上させることでカロリー消費を促進し、脂肪燃焼効果も期待できるため、有酸素運動と併用することで効果的なダイエットが可能となり、特に大きな筋群を使用する複合種目を取り入れることで、より高い消費カロリーと代謝アップが見込め、さらに適切なタンパク質摂取と休養を組み合わせることで、理想的な体型維持が可能となります。
ダイエットに筋トレを取り入れる方法をご紹介します!
1. 筋トレがダイエットに効果的な理由
・筋肉量が増えると、体が消費するカロリーが増える
・運動後も脂肪が燃焼しやすい状態が続く
・体型がキレイに引き締まる
2. おすすめの筋トレメニュー
初心者向け:1種目10回×3セットから始めましょう
・スクワット
-お尻と太もも周りが引き締まる
-1日30回からスタート
・腹筋運動
-おなか周りをスッキリさせる
-1日20回から始める
・プッシュアップ(腕立て伏せ)
-二の腕と胸を引き締める
-膝をついて行うのもOKです
3. 運動のポイント
・週3回程度から始める
・体力に合わせて回数を増やす
・無理なくゆっくり行う
・正しいフォームを意識する
4. よくある失敗と対策
・「やりすぎて筋肉痛になった」
→最初は軽い負荷から始めましょう
・「すぐに効果が出ない」
→1か月続けることを目標にしましょう
・「毎日続かない」
→週3回からスタートするのがおすすめです
できることから少しずつ始めると、必ず結果はついてきます! 体調が悪いときは、無理せず必ず休養を取ってくださいね。
長い例文で恐縮ですが、上のふたつは同じ話をしています。わかりやすい・わかりにくいの差は、極端に言うことこういうことなんです。具体的で実践的な情報を整理して提示することで、聞き手にわかりやすく、伝わりやすい文章になります。
前述の例文をもとにすると、わかりにくい文章の特徴は、
全体的に短い文章でまとまっていて、「それっぽい」内容なのですが、内容がない文章になっています。トレーナーにメッセージを送った「私」は、これを読んで「よしやってみよう」とは思えませんし、「このトレーナーとはこれ以上話してもダメな気がする」と思ってしまいます。
いっぽう、わかりやすい文章の特徴は、
文章のボリュームは増えてしまいますが、質問者の疑問や不安に答えただけでなく、読み手の質問の意図を理解し、次の行動につなげる後押しもしています。「読み手を意識して書く」とは、読み手のニーズに応えられる文章であるとも言えます。
文章を書くとき、書く順番として「PREP法」を使うのがおすすめです。
PREPとは、「Point(結論)⇒ Reason (理由)⇒Example(事例)⇒ Point(結論)」の頭文字を取ったものです。最初に結論を述べ、結論に至った理由と事例を説明し、最後にもう一度結論でまとめます。文章がうまく書ける方は、ここが上手です。
心がけるポイントは、
です。
国語の授業で習った「起承転結」の書き方ですと、「結論」に至るのが最後の最後になります。昨今世の中に出ているテキストコミュニケーションは、「つかみ(冒頭)が大切」と言われています。最初にぐっと心をつかまないと、最後まで読んでもらえません。
SNSや動画でも、最初にもたもたした表現をしていると、すぐに離脱されてしまいますが、まさにそれです。「起承転結」で書きたい場合は、「結・起承転結」で書くことをおすすめします。
また、補足情報をあとから付け加えるのは、結論や重要な点と一緒に補足したい情報を書くと、何が重要なのかぼやけてしまうからです。最初に重要な点だけ書いて、補足情報なしでわかるようにまとめる。その上で、補足します。
文章力を上げたい場合は、まずこの「読み手意識」を持つことから始めてみてください。これだけでも文章の質は大きく変わります。
余談ですが、ライター業をしていると、「原稿を一晩寝かせる」という言い方をよくします。書いたときは「これだ~!」と思いながら書いていますので、原稿に対してある意味視野が狭くなっており、原稿を俯瞰して読むことが難しくなっています。
ですから、一晩置いてクリアな視点で再読します。すると、冷静になった気持ちと視点で原稿を見直すことができるので、書き上げた後には気づかなかった点に気づくことができます。こうして物理的に「読み手意識」をもつこともできますので、よかったら一度試してみてください。
次回は【文章の書き方編】毎日少しずつ「文章力」を上げる方法【2】をお届けします。