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経営者やフリーランスの基本「理想の顧客」の設定方法

作成者: まてぃさん|2023/04/21 7:00:17

成功するビジネスの基本は、自分のビジネスの「理想の顧客」を正確に設定し、そのニーズに応えることです。本記事では、ターゲット顧客設定の重要性とその方法について詳しく解説します。これを通じて、経営者やフリーランスが抱える悩みを解消し、顧客獲得に成功するための方法を学びましょう。

もくじ

―なぜ理想の顧客の設定が必要なのか
―理想の顧客を設定しない場合のデメリットとは
―理想の顧客設定により変化した例
―理想の顧客を明確化する6つのステップ
―理想の顧客を設定して集客力を上げていく

なぜ理想の顧客の設定が必要なのか

自らビジネスを行うにあたり、理想の顧客イメージを具体的に設定する理由はいくつかあります。主な理由を以下に挙げます。

  1. 情報発信しやすい:理想の顧客がどんな人かを具体化することで、その顧客層に対して効果的なメッセージ、いわゆる“刺さる情報発信”がしやすくなり、顧客の興味やニーズに適切に応えやすくなります。いわゆる「あ、これは私のことだ」と自分事として捉えられやすくなる可能性が高まります。

  2. リソースの最適化:顧客にサービスを知ってもらうためだけに使えるリソース(時間・費用・手間)は、とても限られています。経営者やフリーランスなら言わずもがなですよね。理想の顧客を設定すると「誰に何を伝えるか」が明確になりますのでリソースを最も効果的に使う点を決めやすくなります。

  3. サービス開発の効率化:理想の顧客を明確にすると、誰が何に課題を感じていて、自分のサービスがその課題をどう解決できるかが具体的になります。そのため顧客層のニーズに合った商品やサービスをより具体的に開発できますし、「かゆいところに手が届く」ようサービスを磨き上げ、質を高めることもできます。

  4. 顧客満足度の向上:理想の顧客のニーズや要望を理解しているからこそのサービス提供やサポートができますので、顧客満足度は高まりますし、リピートが起こりやすくなります。また、サービス内容や対象顧客が明確だからこそ、同じ課題をもつ知人への口コミなどが既存の顧客から伝わりやすく、新規顧客獲得の機会も増えやすくなります。

  5. 売上・利益の最大化:理想の顧客に焦点を当ててサービス提供する中で、理想の顧客の新たなニーズを深掘りし、新サービスのオプション開発につながることも多くあります。その機会を活かしてサービスを派生させ、既存顧客の課題解決に貢献することで、1クライアントからの売上幅を増やしていくこともできます。

総合的に言えば、理想の顧客を具体的に設定することは、マーケティング活動をより効果的で効率的に行い、サービスの成長や競争力を向上させるために重要なプロセスです。

理想の顧客を設定しない場合のデメリットとは

逆に、理想の顧客を設定せずに集客や販促活動をするのは、何がデメリットなのかまとめてみます。

  1. 発信するメッセージがぶれる:理想の顧客がぼんやりしている場合、広範な顧客層にアピールしようとしてメッセージがふわっとしがちになります。誰のどんな課題をどう解決するからこのサービスは有用であるというメッセージを発信しにくく、効果的なコミュニケーションが難しくなります。必要なのは具体性です。

    「全人類に向けてサービスをやっています」と「〇〇業界の企業の営業担当者」なら断然後者。企業の営業担当者に“刺さる”メッセージを考えやすいですよね。ユーザー層によっては使用するメディアの選定や投稿時間にも関わってきますので、最低限定めたいところです。

  2. リソースの集中投下がしにくい:理想の顧客の具体化をせずにリソースを広範囲に使うと、効果の低い活動に時間や費用を浪費する可能性があり、結果的に費用対効果が低くなる傾向があります。

    たとえばリスティング広告(指定のキーワードに広告を出す仕組み)を例に挙げると、企業の営業担当者が理想の顧客なら、営業担当者が日常的に使うキーワードに広告を出すとCV率が当然上がりやすくなります。しかし、キーワードを絞らずに全人類に向けて広告を出すと、多くの人の目には触れますが、打率は上がらず、費用ばかりがかさんで効果は出ません。

  3. 顧客満足度が得にくい:顧客ニーズをうまく汲みとれていないサービスの場合、顧客の期待に対応できない商品やサービスが提供されてしまい、一度限りで契約が終了し、リピートや口コミが起こりにくい状況になりがちです。理想の顧客が明確になっていれば、顧客のニーズに合っているかどうか現顧客に注意が向けられ、改善も図られやすいのですが、そうでない場合は顧客の声を聞き、ニーズに応じた改善を行うことが必要です。

  4. 伝わらないプロモーションになりがち:理想の顧客を特定しないため、広範囲の人に向けたプロモーションが行われることにあります。仮に企業の営業担当者にサービスを知ってもらいたいのに経理担当者に情報が伝わっても、必要な人に情報が届いたとは言えないですよね。

    自社サービスの特性に合った顧客に向けた情報発信は、プロモーションの基本です。誰のどんな課題を解決するサービスかを明確にし、理想の顧客の日々をよりよくすることを伝えるために、サービスを選定・決定する方に「これは私のための情報だ」と思ってもらえるプロモーション計画を作る必要があります。

注意点としては、これらの陥りがちな点を意識し、リソースの最適化や効果測定を行い、顧客のニーズや市場の動向を把握することが重要です。また、理想の顧客を特定しないアプローチが企業の目標や業界の状況に適しているかどうかを慎重に評価し、必要に応じて戦略を見直すことが求められます。

理想の顧客設定により変化した例

ここでBEFORE/AFTERをわかりやすく説明してみます。

これは私個人の例です。独立したばかりの頃はフリーランスで仕事を始め、行う業務の範囲をあまり絞っていませんでした。ですから、Web制作、ブランディング、SEO対策、ライティング、コンテンツ運用支援、サイト分析、レポーティング、SNS運用支援、CRMの設計と運用……と業務範囲が広く、外から見ると「君は一体何がしたいんだ状態」です。

どれも好きな業務なのでやっていたというのが実情ですが、外から見るとただの「何でも屋」。しかも、常に数社のお仕事を並行して進めているため、業務が多岐に渡り、結果非効率になっていることが多々ありました。

そこであるタイミングで「私の理想の顧客」について考えて明確化し、私が「好きで得意」×「結果が出やすい」仕事に集中することにしました。それが、「コンテンツ顧問」業務です。それ以降、仕事はコンテンツ顧問がメイン業務になりました。

しかしながら、実際はコンテンツ顧問の業務を入口に、SNS運用支援やCRMの構築と運用、レポーティングやライティング……と業務が広がっていくので、やっていることは実は以前と変わりません。ただ、私に業務を依頼してくださる方は「コンテンツ顧問」を依頼する形で私との接点を持ってくださいます。入口がわかりやすくなり、依頼がしやすくなったのです。

図に表すとこんな感じです。

設定前は入口をたくさん設定したほうが潜在顧客との接触ポイントも増えて、コミュニケーションが取りやすいと思っていましたが、実際は逆。説明の手間暇がかかりすぎるため、コミュニケーションコストの高さと効率の悪さに辟易していました。時間がかかるわりに、問い合わせごとに内容が異なり、一定のマニュアルを作って効率化することも難しいのが課題でした。

しかし、設定後は接触ポイントが絞られたことで、顧客にとっても私にとってもわかりやすくなりました。情報発信においても、コンテンツ顧問に的を絞って発信できるようになったため、自分としても広告を出したり、SEO対策もシンプルになり、効率化ができました。

理想の顧客を明確化する6つのステップ

では実際にどんなステップを踏めば理想の顧客を言語化できるのか見ていきます。

  1. 市場調査:まずは、自分のビジネスが提供する商品やサービスに関心があると思われる人々を調査します。といっても、ひとり事業やフリーランスの場合、詳しい市場調査は現実的ではありません。

    自分の提供するサービスはどのくらいのニーズがあり、どんな場面でニーズが発生しているか、どんな企業がどのくらいの費用感で仕事が発生しているか、その費用感に含まれる内容はどんな内容か……等。競合企業の顧客層や業界動向をざっくりとでもリサーチし、自分のビジネスが成立する要件を確認します。

  2. 理想の顧客イメージの具体化:次に、顧客を年齢、性別、地域、収入、職業、教育水準、家族構成などの基本的な属性に基づいてグループ分けします。「a.市場調査」でわかったニーズに対し、顧客の生活イメージやライフスタイルをうかがい知ることで、この方がどういう経緯で自分のサービスに問い合わせをしてくださるかのヒントを見つけるための、基盤となる情報のひとつです。

     

  3. この表は理想の顧客イメージを作るための表組サンプルです。肖像権の都合上ここではイラストを入れていますが、通常は人の写真を入れます。この表を見て、リアルに「田中文也さん」が人として浮かび上がってくることを目的としているためです。下記にこのシートをご用意していますので、よろしければお使いください。無料・登録なしのワンクリックでダウンロードできます。
    顧客イメージを作るペルソナ作成シートDL>>

  4. 顧客のニーズと価値を理解する:「b.理想の顧客イメージの具体化」をもとに、上記なら“田中さん”のニーズや価値観を言語化します。これにより、ビジネスが提供する商品やサービスが理想の顧客にどんな価値を提供できるかを理解できます。

  5. 理想の顧客の特徴を洗い出す:最も魅力的な顧客層を特定し、その特徴やニーズに焦点を当てた特徴をまとめます。その顧客がどのような属性で、どんなライフスタイルを送り、日常的にどんなメディアを使用し、どのような購買行動を示すかなど、行動や考え方などをまとめます。

  6. サービス内容の検討:dの理想の顧客の特徴やライフスタイルに基づき、自社サービスの内容と齟齬がないか調整します。調整する内容には、商品やサービスの開発、価格設定、プロモーションの場や方法、販売チャネルの最適化、顧客の判断基準に基づいた情報発信などが含まれます。

  7. 理想の顧客とのコミュニケーション:顧客との関係を築き、維持するために、情報発信を通じて顧客とコミニュケーションを行い、問い合わせ対応等を調整します。SNSや自社サイトに訪問したユーザーのデータ分析などを通じて顧客行動のフィードバックを収集。改めて自社サービスを知ってもらったり、選定してもらえる接点を見直し、改善します。

こうして理想の顧客を言語化し、“あたかもそこにいる”くらい具体的な人物イメージを描くと、顧客獲得に向けて今後どうすればよいか考える次のアクションに移りやすくなります。

理想の顧客を設定して集客力を上げていく

ここまで説明してきましたが、理想の顧客を設定することで、経営者やフリーランスは効果的なマーケティング戦略を策定しやすくなり、限られたリソースをうまく使うことができます。また、顧客のニーズに合った商品やサービスを提供し、顧客満足度を向上させることができるため、リピートビジネスや口コミによる新規顧客獲得も期待できます。

明確な理想の顧客を持つことは競合他社との差別化もしやすく、市場での競争力を高めることができますので、結果的に、経営者やフリーランスの売上や利益が増加し、ビジネスの成長と安定にしやすくなります。もし、今現在、あなたの理想の顧客を設定していない場合は、今一度考えてみてください。違った視点でご自分のサービスや仕事のありかたそのものを振り返るきっかけにもなりますから。